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新しい研究拠点の所長になるセシル・ブリス博士は記者会見で「国際的な視点から福島の課題の解決策を研究していく」と語った=2025年6月11日午前11時27分、福島市の福島大、岡本進撮影

 フランス最大の基礎研究組織である国立科学研究センター(CNRS)と原子力・代替エネルギー庁の二つの機関が、福島大学内に新たな連携拠点を設ける。原発事故後に3者で取り組んできた研究を、さらに発展させ、国際社会に情報発信するのが狙いだ。福大が11日に記者会見し、発表した。

 「人文・社会科学」と「環境科学」の2分野が主な対象で、拠点は、大学の環境放射能研究所内にできる。3者は2020年から、原発事故の長期避難による心理的な影響や、土砂の放射性セシウムの動態や除染などに関して研究や調査を進めてきた。今後は、研究者や学生の相互派遣を活発にし、30人ほどの研究者らが拠点に常駐。避難指示区域の課題などの研究に取り組むという。

 CNRSのアントワーヌ・プティ理事長が23日に福大を訪れ、福大の三浦浩喜学長らと、拠点設置を柱とする学術交流協定を結ぶ。

 CNRSは海外の研究機関との共同研究を進めており、研究拠点を設けるのは、東京大や東北大、産業技術総合研究所などに続き国内では13カ所目となる。CNRSが福大に持ちかけた。研究拠点の所長に就くCNRSのセシル・ブリス博士は記者会見で「いまの福島の状況の複雑さに役立てていけるような研究に挑んでいきたい」と話した。

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